旅立
在宅生活が長引く反動で、とてつもなく「旅」に出たくなった。
叶うことなら、旅を終えたときに、自身の成長を感じられるほどの、壮大な旅がいい。
そして、欲をいえば、旅の途中で志をともにする仲間に出会い、一緒に世界を知っていきたい。
こんな想いが抑えきれなくなり、僕はドラクエ11(3DS版)を買った。
これが、2周間前のことだ。
始めてみると、ドラクエ11の世界は、想像を超えて広大で壮大だった。
僕は、勇者の生まれ変わりながら、悪魔の子と呼ばれ、とある国王から追われる身となってしまう。
しかし、勇者を信じる仲間たちと出会うことで、数々の危機を乗り越えていく。
僕の旅は、しばらくの間、特段の努力を不要に進めることができた。
挫折
往々にして、挫折とは、計画なしに物事が順調に進んでいる時にやってくるものだ。
僕は挫折を味わうことになる。
魔王の復活を機として、世界中の魔物が、突如強くなったのだった。
僕は、負けることが多くなり、魔物と戦うことを避けはじめた。
戦いに時間をかけることが嫌になり、なにより負けることが恐くなった。
魔物を避けることで、旅はスピードを取り戻したが、その代償として、倒す必要のあるボスに勝てなくなった。
戦いを避けて、楽を積み重ねた結果、僕は旅を進めることができなくなったのだった。
旅は、いつしか、現実に変わっていた。
弱い自分が浮き彫りになり、悩むことになった。
抵抗
しばらく悩んだ末、最初にとった行動は、より良いアイテムを購入することだった。
装備をより良いものにしたり、戦い方を工夫することでボスを倒すことができないか試してみた。
しかし、結果は出なかった。相変わらず、ボスには太刀打ちできなかった。
僕は、途方にくれた。
そして、3DSをそっと閉じて、旅を終えた。
しばらく、旅のことは考えずに過ごした。とても平穏だった。
再開
再び3DSを開いたのは、数日たったある日だった。
旅の続きを、どうしても見てみたくなった。
続くはずの新しい景色を目にできないことが、我慢できないことに気づいた。
僕は避けていた魔物との戦いを、増やすことにした。
戦いが長引こうと、負けることがあろうと構わなかった。
成長しない自分でいることのほうが、よっぽど恐かった。
戦いを繰り返すことで、おのずと僕のレベルは上がっていった。
そして、レベルが上がるにつれ、戦いに対する恐れは消えていた。
魔物が現れたときに、ビクつく癖もなくなっていた。
自分の努力が、自分を救ったのだった。
とても気持ちが良かった。しばらくして、ボスを倒すこともできた。
いま、僕の目の前には、新しい旅の景色が広がっている。
これが、僕の再スタートだ。
99レベルとは?
ドラクエの最高レベルは99なんだけど、99レベルになったときの能力は、キャラクターによって異なるんですよね。
防御の能力が最後まで低いキャラクターもいるし、魔法が全く使えないままのメンバーもいる。
でも、99レベルなのに弱いキャラクターがいるかというと、そんなことはない。みんな強いんだよなあ。
つまり、他の人と比べて劣る点があったとしても、成長しきった姿は間違いなく強いんです。
たとえば、僕ら自分自身にも99レベルの姿があるとしたら、それはどんな自分でありたいでしょう。
そして、自分の想像する99レベルになるには、どんな努力をすべきだろうか。
うーむ、ドラクエは深い。