2回目のヒゲ脱毛に臨むまでのこと
1回目のヒゲ脱毛から、数週間がたったある日のこと。
僕は彼女にお願いして、2回目のヒゲ脱毛の予約を入れてもらい、飛行機のチケットも予約をした。
クリニックには、1ヶ月に1回通う必要があるのでした。それも、プランの都合から平日に。
このためには、平日に休みを取るか、もしくは日本の祝日にいけばよい。
日本で祝日でも韓国では平日なので、こういうのはとても助かる。
ちなみに、日本の終戦記念日は、韓国でも「光復節」といって祝日。
彼女から「きょうは韓国も祝日よ」と聞いたときは、歴史の裏表を感じざるを得なかったですね。
予期せぬ彼女の予定
韓国へ出発する数日前のこと、彼女から「当日に仕事の面接が入っちゃったの。受付だけ一緒にいくから大丈夫だよね」と連絡がきた。
僕は「不安だけど大丈夫だよ」なんて返事をして、内心は急激な不安に襲われていた。
液晶に流れるハングル記載の名前は、文字数が違うからすぐわかるとして、受付とか一連の流れは、どうやってコミュニケーションを取ったらよいのだろうか。
やれやれ。
予期せぬ彼女の予定2
ヒゲ脱毛2回目の前日、夜に僕は韓国についた。
いつも通りに、彼女は仁川空港で僕を待っててくれていて、僕らは地下鉄に乗り込んで、東京ばな奈を食べながら宿まで向かった。
地下鉄のなかでは、たわいもない話をしていた。最近の仕事の話なんかをしてた、そんなとき彼女は唐突に「明日の面接が早まってしまったの。ひとりでクリニックにいける?」と話はじめた。
僕は「え、そんなの無理じゃないかな」と露骨に心配なそぶりを見せたのだけど、彼女は一言「けんちゃなーっ」と笑うのみだった。
僕の緊張と彼女の緊張
翌朝。僕も彼女も緊張していた。
僕はひとりでクリニックにいかなくてはならず、彼女は面接にいかなくてはいけず、断然僕の緊張のスケール感のほうが小さいけれど、ナーバス感はとんとんのつもりだった。
宿からクリニックまではバスに乗っていくのだけど、バスのなかにこんな張り紙が貼ってあったことも、僕をよりナーバスにさせた。
僕の緊張と彼女の緊張2
バスから降りて、まもなくクリニックに到着しようかというとき。
彼女も面接の時間が迫ってきていて、僕を送り届けるのでやっとの様子だった。
それどころか、この時点で彼女が会場までいくためのバスの時間が過ぎていたようで、ちょうど横目にバスが通り過ぎるのを目にした。
ソウルではバス専用車線が多くあり、一般の車よりもバスに乗った方が到着がスムーズだったりするらしい。
そんな事情もあって、僕も彼女もいっそう焦りはじめた。
クリニックはもう目の前だった。
僕は「もう時間がないからタクシーに乗りな」と彼女を促すと、彼女は「うん、ありがとう」と言って、止まっていたタクシーに乗り込んだ。
そして、それに続いて僕もタクシーに乗り込むと、タクシーは走り出したのでした。
僕の緊張はおわり彼女の緊張は続く
こうして、さりげなく僕は2回目のヒゲ脱毛から逃げ出したのだった。
彼女には「クリニックにいかないなら、はじめから別のバスに乗ったのに」と言われたけど、「ひとりで会場にいくのは不安だったでしょ」とか都合のいいことを言って、僕らは面接の対策について話をしながら面接会場まで向かった。
結局、この日彼女は仕事が決まった。
やはり、僕が直前まで一緒で、不安が減ったからだろう。
冗談で僕がそんなことを話すと、彼女もそう思っていたらしい。
ヒゲ脱毛はつづく。